研究会の活動報告(2013年)

会員の活動報告を紹介するスペースです。
送り先は事務局アドレスで件名に会員活動報告と記載して下さい。個人名については、掲載したくない場合は、あらかじめイニシャルなどに変換して下さい。地元で開催されるセミナーのご案内も掲載いたします。会員および家族看護に関連するものに限らせていただきます。たくさんの活動報告をお待ちしております。(事務局)

8月10日(土)第3回アドバンストセミナーⅡ Illness Beliefs Model

 810日(土)第3回アドバンストセミナーⅡを北里大学看護学部で開催しました。参加者は8名で、ほとんどの方が何度もセミナーに参加されている常連さんでした。午前は小林代表による講義、午後は『実践力を高める家族アセスメントPartⅠ』に、実際の家族面接の事例として掲載されている「子どもを望むセックスレスの夫婦との初回面接」のDVD視聴、質疑応答でした。

Illness Beliefs Modelのセミナーは2回目の参加でした。1回目と比較すると講義を受けながら、実際の現場におけるIllness Beliefs Modelの実践例をイメージすることができました。DVD視聴するにあたり、クリニシャン、夫、妻それぞれのビリーフについて考える事前課題に取り組みました。1回目のときは、初回面接の漠然とした流れと夫に何らかの変化が起きたらしいということを理解することにとどまり、ビリーフについてはほとんど捉えられていませんでした。2回目の今回は、クリニシャンの面接技術に意識的に注目して視聴しました。およそ90分間の面接中、夫と妻の語りを全身全霊で聞き、同時に家族アセスメントを行い、Illness Beliefs Modelの技術を用いて、「問い」を行っていることに気がつくことができました。アドバンスレベルの実践ができるようになるには、さらなる学びと訓練が必要であることを改めて感じました。(富山)

5月24日(金) 特別研究セミナー:上田礼子先生招聘講演

 524日(金)、北里大学看護学部相模原キャンパスにおいて、上田礼子先生をお迎えし、「現場に役立つ研究を企画・継続するために―沖縄県における長期調査の経験から―」というテーマで、特別セミナーが開催されました。

 40年以上にわたり、子どもと家族を対象として、子どもの発達と支援に関する調査・研究に携わり、『日本版デンバー式発達スクリーニング検査』『生涯人間発達学』『子どもの発達のみかたと支援』などの多数の著書で知られている上田先生を囲んで、和やかな中にも緊張感のあるセミナーでした。

看護とは、そして、看護実践から生まれた研究、対象となる人のために貢献するという先生が大切にされてきたことについて、経験を通してお話して下さいました。先生のお話に引き込まれ、あっという間の2時間でした。参加者全員が、「今から、できることから始めるのだ」と、力づけられ、背中を押していただいたと感じたのではないでしょうか。

講義の詳細については、ジャーナル(31号)で報告しておりますので、そちらをご覧になって下さい。(山岸)

7月27日(土)川崎市看護協会 訪問看護師養成講習会 報告

 7月27日(土)川崎市看護協会 訪問看護師養成講習会「訪問看護の対象となる在宅療養者の家族看護」の講義を務めさせていただきました。担当させていただいた講義は養成講習会プログラムの最後の講義であることや公開講座であり外部から参加された方が十数名いらしたことをお聞きして、とても緊張しました。しかし、温かい雰囲気の中、皆様が熱心に聞いてくださいまして緊張も和らぎました。私自身が学ぶ立場でありながら、このような講義の機会をいただいたことに大変感謝しております。

 予定よりも30分も早く講義が終わってしまったことが反省点です。たくさん質問をしていただいた内容を今後の講義に活かし、よりわかりやすい講義となるようさらに学びを深めていきたいと思います。(富山)

6月28日(金) 栃木県看護協会 訪問看護師養成講習会の報告

 628日(金)に栃木県看護協会訪問看護師養成講習会「家族看護」の講義を蔦沢さんと富山で務めさせていただきました。これから訪問看護師として働くかどうかを検討されている方から10年以上勤めていらっしゃるベテラン訪問看護師の方まで、35名の方が受講してくださいました。

 午前中の講義は、訪問看護師の対象である療養者と家族の特性と家族アセスメントについては富山が担当し、事例をもとに在宅療養開始期から病状安定、病状悪化を繰り返し、終末期に至るまでの過程については蔦沢さんが担当しました。午後は『実践力を高める家族アセスメントPartⅠ』に掲載されている人工呼吸器をつけて在宅療養をしている4歳の松之助くんの事例を用いたグループワークを行いました。6つのグループに分かれて、事例のジェノグラムとエコマップを描き、事例に登場する家族成員それぞれの苦悩について話し合い、最も苦悩している2者の円環パターンを作成し、3つのグループに発表をしていただきました。皆様とても熱心にディスカッションをされていて楽しい雰囲気のなかで一日を終えることができました。

 蔦沢さんとペアで講義を務めたのは初めてでした。いつも学びをともにしている蔦沢さんがいてくれる安心感があり、比較的リラックスしてお話をすることができたかと思います。お互いの講義についての感想や今後より伝わる講義とするにはどうしたらいいか、グループワークの進め方について等、反省会をしました。私一人では気がつかない視点について率直に意見を述べていただき、学びとなりました。また、グループワークの事例は他の講義やセミナー等でも使用しているのですが、家族の背景や苦悩、円環パターンが多様に表現されており、本当にいつも新たな発見があり、大きな学びとなっています。

 私も蔦沢さんも訪問看護が大好きです。ひとりでも多くの方が訪問看護師の仲間となっていただけたら、大変うれしく思います。(富山)

第8回ステップアップセミナーⅠ&第7回ステップアップセミナーⅡの報告

みんな真剣な表情で話し合っています
みんな真剣な表情で話し合っています

 68日と9日、ステップアップセミナーⅠ&Ⅱを北里大学相模原キャンパスで開催しました。セミナーⅠは18名、セミナーⅡは17名で、東北、中部、北陸、中国地方と全国各地から参加者が集まりました。参加者の専門領域は地域、在宅、母性、小児で、バックグラウンドは大学院生、大学教員、病院勤務、訪問看護ステーション勤務と多岐にわたっていました。

 1日目のグループワークでは、2つのグループにわかれ模擬家族をつくり、「骨肉種と診断された高校生の息子に告知をするべきか苦悩する両親と姉」「家族がバラバラになってしまうのではないかと苦悩する乳がん終末期の内縁の妻」の苦悩の場面を描きました。家族を設定する中で、それぞれが出会ってきた家族が想起される場面もあり、涙ぐまれる方もいて、真剣に、そして白熱した話し合いとなりました。

 2日目は、2家族の初回面接相談を設定し、2人のクリニシャンが挑戦しました。1人は今回で3度目の挑戦である山岸さん、もう一人は初挑戦の富山です。3名の家族メンバーが相談にきました。家族役を演じてくださった方々は今回が初めての家族劇でしたが、見事な演技力で本物の家族さながらでした。3名いることで、CFAMの「影響力と支配力」「同盟と協力関係」が見事に表現されていました。クリニシャンとして、家族メンバーのパワーバランスについて気づくのが精いっぱいで、どのように問いかけると調整できるのかまでは、わかりませんでした。撮影したビデオを見ながら小林先生の解説で面接を振り返りました。認知・概念化する能力を鍛えていかなければ、家族にフィットした介入を実施することは難しいということがわかりました。プロフェッショナルへの道のりはまだまだ長いですが、めげずに学び続けたいと思います。(富山)

2013年4月1日 アドバンストセミナーⅠ「円環的質問法」の報告

う~ん・・。む・むずかしい・・・。
う~ん・・。む・むずかしい・・・。

39日(土)北里大学相模原キャンパスにおいて、アドバンストセミナーⅠ「円環的質問法」が開催されました。「円環的質問法」は、ステップアップセミナーⅠ&Ⅱを受講し、さらにレベルアップしたい人向けの上級セミナーとして位置づけられています。

午前は、小林代表より理論的基盤を踏まえた家族への問いかけ方の講義があり、午後は3つのグループに分かれて、サザエさんの事例をもとに、テキストである「グループワークで学ぶ家族看護論 第2版 カルガリー式家族看護モデル実践へのファーストステップ」80頁に掲載されている表23「家族機能の認知・感情・行動領域を変化させる円環的な質問の例」の12の問いかけ表現を考え、最後にグループごとに発表し、小林代表より講評をいただきました。

午前中の講義のなかで、医療者が患者さんのそばで優しく微笑むだけでも患者さんへ癒しの大きな影響を与えるが、言葉はそれよりもさらに大きな影響を与える。限られた時間の中で、意図的に施療的に家族へ問いかけることが、結果として家族の癒しにつながり、家族はシステムであるので、最終的に患者さんにとっても、より良くなるための効果的な技術であり「上級実践」であるとのお話がありました。この「上級実践」の意味が、午後のグループワークを通して、思い知らされました。

情報を収集するという直線的な質問に慣れてしまっているせいか、いざ、12の問いかけの表現を考えようとしても、なかなか思いつかないのです。問いかけをするには、ジェネラルレベルのCFAM/CFIMのアセスメントがしっかりと叩きこまれていなければならないことも痛感しました。臨床の現場でベッドサイドや家族面接のときに、家族アセスメントと同時進行で意図的な施療的な問いかけを行なっていくには、身体に染み込むくらいに理解していなければ、とても使いこなすことは難しいと実感し、やはりこれは「上級実践」なのだと思いました。

 セミナー終了後、あまりの自分のできなさ加減に少々落ち込みました。でも、七転び八起きの精神です!!自らを奮い立たせて、基礎から学び直し、必ず自分のものにしてやる!と気合が入ったのでした。上級実践者への道のりは本当に長くて険しいです。めげずに頑張ります。ありがとうございました。(富山)

 

連絡先・アクセス

252-0329 

神奈川県相模原市南区北里2-1-1

北里大学大学院看護学研究科 

家族看護学Ⅰ

 

最寄駅よりバス約20分
小田急線:相模大野駅
JR線 :相模原駅、古淵駅