立ち話から家族の話へ

とある販売店でのお話です。閉店間際に駆け込み、お目当てのものを購入しました。

お店には他のお客様はいませんでした。

お店の奥様となんとなく立ち話になりました。

話の流れで、私の仕事の話になり、今は大学院に通っているけれど、それまでは訪問看護師をしていたと言いました。

すると、奥様の表情がパッと変わり、ご自分の家族の話をされました。

奥様によると、以前、祖父母の介護を一人で担っていたそうです。

あるとき、祖父が具合悪そうにしていたが、どうしていいのかわからず、救急車を呼んだときには、もう手遅れで、そのまま亡くなってしまったという経験をされたそうです。

その後、往診医を変えたことで、訪問看護も利用することになり、祖母のときには、ずいぶんとお世話になり、心強かったこと、最期まで在宅で看取ることができたことなどを話されました。

私が何気なく「訪問看護師」という言葉を発したことで、奥様の家族の物語を話してくださり、

予想していなかった展開に、私はどんな言葉をかけてよいのかわかりませんでした。

以前であれば、「それは大変でしたね。」と声をかけたように思いますが、この出来事が

最近のことなのか、10年前のことなのかも、わからないし、奥様はいまだに苦悩しているようにも

見えるけれど、乗り越えて明るく生きているようにも見えるので、

「大変でしたね。」という言葉が奥様にフィットするのだろうか?と脳裏をよぎりまして

結局は、「そんなことがあったんですね。」と言うのが精いっぱいでした。

奥様が家族の話のあとに続けて言ってくださったのは「もっと早く訪問看護師さんに出会っていたら、どんなによかったかと思いました。素晴しい仕事ですね。これからの活躍を期待していますよ。頑張ってください!」でした。

何気ない立ち話から、家族の話となり、最後は励ましの言葉をいただきました。

とてもうれしかったです。もっともっとがんばろう!と心に誓いながら、家路へと向かいました。(富山)

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北里大学大学院看護学研究科 

家族看護学Ⅰ

 

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