前回更新した石垣島からまもなく1カ月。気がつけばもう東京は梅雨明けです。
暑い夏の太陽に負けない、鹿児島の五反田内科クリニック初の事例検討会でした。80人超で立ち見が出る事例検討会というのは初めてでしたが、老母とメンタルの問題を抱える息子の深い愛、認知症の進行と後見人の問題、ケアマネさんの悩み・・・学ぶことの多い事例でした。当然のごとく・・・小林の事例検討では「素晴らしい解決法」などというものは提示できませんが、参加した関係者それぞれが、「明日からできること」を何か持って帰って下さったと信じています。
次の日は、早朝から同行者を伴って、ナカノ在宅医療クリニックにお伺いし、中野先生の新たなビジョンを含め、在宅医療におけるICTの活用についてお話を伺いました(中野先生有難うございました!)
引き続き、「家族への問いかけ方:カルガリー式家族介入モデルと円環的質問法」と題して2時間の勉強会でした。内容はたぶん今までの小林のセミナーの中ではもっとも難解な部類に入るものですが、バッチリ予習をしてきて下さった方もいて、「今までで一番おもしろかった!」という意見もありました。一方で、「難しかった!」という意見もありましたが、少人数での演習は時間が足りないほど盛り上がって下さいました。鹿児島発ですから、さらにバージョンアップして本研究会のステップアップセミナーのライナップへ加えたいと思っています。
参加して下さった皆様、本当に有難うございました。
鹿児島大学在職中には経験することのなかった本格的な「降灰」を経験した貴重な日になりました。
次回は鹿児島では、12月11日にナカノ在宅医療クリニックの家族事例検討会、次週18日には鹿児島県看護協会主催の研修会が予定されています。みなさまに再びお目にかかれますことを楽しみにしております!(小林)
北海道は札幌市立大学大学院講堂での講演でした。お隣の市立病院からも多くの看護師がが参加して下さっていました。何より、感動したのは、大会長の坂倉先生はじめ、私を推薦して下さった村松先生や市立大学の教育を支える同僚の先生方の熱意でした!!新しい家族看護を始めようという気概を感じました。北海道は渡辺式の独壇場ですが、少しずつでもカルガリー式の良さが加わっていくと良いなとと思っています。もちろん、ご家族が救われ、癒され、看護師が元気になれば、何式であろうと構わないと思いますが。札幌の皆さま、本当にありがとうございました。
一方、沖縄。梅雨も明け、それはそれは美しい南国の空・海・人の温かさでした!しかし、暑い!!こちらがまた、この暑さに負けない、素晴らしい看護師のみなさんでした。1日目は病院の看護部向けの講演でしたが、次の日のグループワークの参加要件でしたので、多くの人が熱心に聞いて下さいました。受けるべきところで、ちゃんと受けて下さったのには感謝!です。数か所の離島の診療所へテレビ会議システムを使って、中継されました。ハイライトを入れませんでしたが(女優ではないので当然ですが・・・)、ハイビジョンではないので、顔のシワやシミまでは映らなかったでしょう。
次の日のグループワークは30分延長でしたが、いずれも素晴らしい家族事例を作って下さいました。苦悩、苦悩、苦悩・・・同じ診断名でもさまざまなコンテクストがあります。あるよね、こんな家族。出会うよね、私たち。そんな物語がたくさんありました。ビリーフも・・・あまり説明はしなかったのですが、苦悩を深めるビリーフが見事に・・・そんな家族をどんなふうに讃えるか。これも実に見事でした。石垣島の皆様、お疲れ様でした。最南端の地、でも皆さんが学び、きっと実践に少し取り入れて下さっている家族支援は、最先端ですよ~!!自信をもって、発信して下さい!
今回、思い切ってお招き下さった八重山病院医療部長の今村先生、本当に何から何までお世話になりました。素晴らしい先生です。南国離島に関心のあるナースの皆様、ぜひ、八重山病院で就職を!
札幌も石垣もおいしものがたくさんありました!!地方講演の楽しみの一つです。みなさま、ご馳走様でした!!またお目にかかれる機会があることを祈っています。
来月は鹿児島です。7月17日は五反田内科クリニックからの初めての事例検討会です。翌日、18日は、地方では初めて「家族への問いかけ方:カルガリー式家族介入モデルと円環的質問の方法」について、やや上級レベルの実践演習を計画しています。こちらは、ナカノ在宅医療クリニックの中野先生が立ち上げた在宅ケアネット鹿児島の研修会として企画される予定です。定員がありますので、参加予定の方はお早目にお申し込み下さい!!
8月開催予定のHow to teachセミナーは、定員15人ですが、すでに残7席です。今後、家族看護学の教育を予定されている皆さま、ぜひご参加下さい。(小林奈美)
5月3日(月)~7日(金)、カルガリー大学で開催されたFamily Externshipに小林代表含め、会員8名で参加しました。5月2日、青森から鹿児島までの会員が成田空港に集合し、カルガリー直行便で向かいました。カルガリー空港にはベル先生ご夫妻がお迎えに来て下さいました。宿泊場所はカルガリー大学内に新しくできたHOTEL ALMAで、きれいで設備も整っておりとても快適でした。
カナダ、アメリカ、スペイン、スイス、香港、日本の6カ国から20名が参加し、連日9:00~16:00までディスカッションを中心に講義が進められました。初日は、参加者の自己紹介とExternshipにおける各自のOQQを発表した後、新しくリリースされたDVDを見ました。慢性的な痛みを抱える男性へのライト先生のインタビューです。個人へのインタビューですが、ご本人の病の体験と家族の関係が焦点化されながら語られるように導き、慢性的な痛みへの対処を更に高める方法を見出していきました。このDVDを素材としながら、Socialな会話とTherapeuticな会話の違いや、マチュラーナの生物学的認識として、括弧つきの客観性や、他者にスペースを空けること(=LOVE)についての説明がありました。
2日目の午前中は、CFAM/CAIMについて、午後からはカルガリー家族看護の中核であるIllness Beliefs Modelの説明があり、何度も夫の瀕死の状況を体験している妻と娘の苦悩が語られているビデオクリップを視聴しました。参加者の中には12年前にもExternshipに参加された方がおり、CFAM/CAIMの割合がとても少ないことに驚いていました。この日の夜は、Social Eventがあり、ベル先生夫妻の車でBanffまでのドライブとベジタリアンレストランでの夕食会でした。この日の天気は雪で、かなり寒かったですが、美味しい料理にお酒、会話と時間が経つのも忘れ、ホテルに戻ったが0時頃、翌日の開始時間も9時半と遅くなりました。
3日目は前日に続きIBMの説明で、午前中は、前日のビデオクリップの続きを視聴し、母親と娘に分かれて、それぞれのビリーフについて考えたり、クリニシャンのビリーフやビリーフ変化の背景を作るために必要なことなどを学びました。そして、午後はライト先生によるライブセッションでした。ライト先生にクライエントからメールがあり、1週間前に突然決まったそうです!one-way
mirrorで仕切られた部屋は既にないため、講義を受けている部屋で、目前で面接が行われました。プレセッションでは限られた情報から参加者の見立てを出し合いました。hypothesisという単語が用いられ、日本語では仮説と訳されていますが、言葉の意味合いがかなり違うのが印象的でした。面接の内容は英語が聞き取れないため、理解が難しかったですが、表情、声のトーンが変化していくのがよくわかりました。さらに、リフレクティングチームによるcommendationやrecommendationを聞いているうちに、笑顔が多くみられ、来室時とは異なり、力強い足取りで帰っていかれました。目の前でライト先生の素晴らしい面接を見ることが出来、とても貴重な体験となりました。
(ちなみに小林の見立ては役に立ったとライト先生にコメントを頂きました!この日は小林は自分の調査があったため、残念ながら、リフレクティングティームの場面からは参加できず・・・。でも調査も意義あるものなので・・・。横やりの小林コメントでした。)
4日目は、午前中はTrinity Modelの解説でした。これは、2月に日本で行われたライト先生の講演内容と重なる部分も多く、英語が分からない私には有難かったです。参加者の母国語では「suffering」はどのように表現され、使われているのかについてのディスカッションや、ビデオクリップを視聴し、苦悩と関係している母と娘のコアビリーフなどを考えました。午後は再びIBMについてでした。マクロムーブのDistinguishing Illness BeliefsとChallenging Constraining Beliefsについて、therapeutic lettersの研究などを紹介しながら説明がありました。
最終日は、ビデオクリップについてのcommendationやrecommendationを考え、実際のリフレクションの様子を視聴し、意見交換を行いました。昼食はライト先生、ベル先生と一緒に参加者全員でとり、来年京都で開催される国際家族看護学会で再開しようと盛り上がりました。午後は参加者のリフレクション時間で、それぞれの感想や学びを発表し、閉会を惜しみながら解散となりました。
言葉の分厚~い壁があっての参加でしたが多くの学びとなった5日間でした。また、国は違っても看護の悩みは共通していると感じることも多くありました。ディスカッション中心の速いスピードの英語にほとんど理解出来ず、とても残念でしたが、休憩時間や講義の後に小林先生に解説していただき、毎日積み重ねて進む講義になんとかついていくことが出来ました。毎日遅くまで一緒にリフレクションをして下さった小林先生と皆様に感謝感謝です。
8日の昼にカルガリーを出発し、日本に戻る予定でしたが、なんとオーバーブッキングで帰国できたのは1名のみ。乗るはずだったエアカナダの飛行機に手を振り、カルガリーからバンクーバーに移動しました。翌日は必ず帰国すべく、バンクーバーのホテルに着いてすぐにwebチェックインを試みたのですが、何度やっても出来ず、再び空港に戻り航空券を発券してもらい、やっと胸を撫で下ろすことが出来たのは午後7時すぎでした。その後、気持ちを切り替え、美味しいシーフード料理を食べ、翌日空港での買い物を楽しみ、無事帰国することが出来ました。海外では何が起こるかわからない、そんな事も学んだ旅でした。
(田久保)