会員の活動報告 2011

福島県看護協会主催「患者・家族支援に関する研修」参加報告 2011年08月21日 17時34分

 ―ファシリテータ役として何ができるか―

 平成23年7月23日(土)10:00~16:00に福島で家族看護の研修会が開催され、FASC-J小林奈美代表が講師として招かれた。テーマは「家族看護―実践力を高める家族アセスメント―」、ねらいは家族を取り巻く社会情勢を理解し、家族成員に対する援助を学ぶことであり、当日165名が参加された。会場である福島県郡山市の看護会館はリニューアルされ、研修室はじめトイレも広く清潔で使いやすかった。午後からのグループワークのファシリテータとして山岸貴子さんと私の二人が参加させて頂いた。そのファシリテータ役として私は開放された体験ができたので、併せて報告したい。 

まず3.11東日本大震災後の支援として何ができるか―。小林代表は、支援の一つとして10月セミナー(ステップアップⅠ・Ⅱ)へ希望者2を招待した。研修会終了後、すぐにメールにて申し込みがあった。10月8・9日に再会するのが今から楽しみである。

また、今回の研修内容に6月に開催された国際家族看護学会のプレカンファレンスでのグループワークを試みた経験について、映像を交えての報告を加えた。その際に国際的に共通する看護職の苦悩(家族に関わる時間がない、家族へ関わる技術・システム看護理解の不足等)と、今回行われるグループワークは国際的に通用する手法であり、“家族を共につくる”ことにより構造面、発達面、機能面の家族アセスメントが可能となることを体験できた。国や文化が異なるからこそ、その違いが際立ち、気づき、参加者が共感し合えた。国際グループワークの報告を聞いた福島会場の参加者は、後ろからも観察できるほど格別に何度も頷き、世界で共通する家族看護の課題と可能性について興味を持ったようだ。

午前中は講義(看護アセスメントと家族アセスメント、家族のジェノグラムとエコマップ)である。小林代表は、「明日に使える何かを見つけてほしい」「自分の家族を振り返ることから家族看護は始まる」「事例検討をするとき、“困難な家族への関わり”を前提とするが“誰にとって困難なのか”について考えてほしい」「家族の中で誰が最も苦悩しているのか」「“キーパーソン”ってなに?」「今行っている看護の意味を説明できること」など、いつもに増して情熱的に時間いっぱい、参加者へメッセージを伝えていた。

午後はグループワークである。事例を通してジェノグラム・エコマップ、円環パターン図をグループワークで作成していくプロセスから、家族アセスメントと援助の実際を学ぶ。25グループに分かれて私は13グループを担当した。今回の事例は家族アセスメントPartⅠの課題20(人工呼吸器をつけて在宅療養している松之助くん)と課題21(アルコールに溺れる認知症のナス夫さん)であった。実は、私は開始直前に「ファシリテータとして役割が果たせるかな」と、とても不安であった。一方の山岸さんは平常心で“まあ、なんとかなる”という風情である。小林代表は私の生物・心理社会・スピリチュアル構造をお見通しで、「今、自分が変なこと言ったらどうしようかって心配で緊張しているしょう。」と言った。ただでさえ脈が速くなっている私はドキリとした。「えっ、どうしてですか?」と返すと、「自分に意識を集中するから苦しくなる」「相手が今、何を求めているかに意識を集中してみて」「相手が知りたいこと・疑問点に対応すればよい」「参加者がよい気づきや想像をしていたらその場で“ここがいいですね”と返せばよい」と伝えてくれた。そうか、私個人の認知の癖だけど、こんな時に出てしまうのか…。そして、“自分ばかりを意識するから苦しい”“自分でなく、相手に意識を集中することの方がずっと楽かも”と、重石が取れたようにすーっと楽になった。

そして本番。グループワークでは参加者の言いたいことが耳に、心にすーっと入ってきた。書き方そのものの質問の他に、「あのう、ナス夫さんにはやはり小料理屋で知り合った愛人がいて、その人との長い愛憎関係から今の家族をみた方がしっくりいくと話し合ったのですが、どうでしょうか」と不安げに質問があった。私は「それは素敵な想像ですね!そのような状況の中で、家族の関係にどのような影響を受けるのか、どんどん創造してみてください」「その調子で話し合いを進めてください」グループがにわかに活気づき、病が家族の構造・発達・機能面に及ぼす影響やその家族の強みなど、多くを学んだ。相互作用として、ファシリテート役の私は自分自身を見直す機会を得た。良い変化を促すファシリテータとして成長していくためには、まず私自身が「楽にさせるビリーフ」へ変化することが第一歩である。それが相手へ影響を及ぼすことを実感できた、貴重な体験であった。(大野)

家族が増えました 2011年07月02日 17時05分

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北里大学大学院看護学研究科 

家族看護学Ⅰ

 

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